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空がつながっていることより、 海があることのほうが、今夜はずっと分かりやすい。 あの星も、あの薄っぺらな月も あなたが見ないならばどうだっていい。 柔らかい雲だけ、浮かんでいればいいのに。 夕日の赤もあの歌も、あの絵のもどかしさも、 心のボコボコにポコポコはまってしまいます。 世界のすべてを吸い込んで、ああと思いました。 世界は、思われてはいない人を思う力で回っています。 愛し合う力なんて、それほどには強くない。 むしろ脆くてちっぽけで、収束してゆくもの。 それでもそんな小さなものに憧れながら、 世界は回ってゆくのです。 遠心力だけで生きている人。 ぐるぐるまわる世の中の外枠ぎりぎりのところ。 今にも弾かれてしまいそうな、すんでのところで、 ぐるぐるまわってくれる世の中の 強い強い遠心力に生かされている人。 生きている意味を弾き飛ばしたくて、それでも 彼女にとっては誰よりも、それを持っている人。 約束のない空気は、柔らかくてぬるい。 それでも、彼を思うと血液が沸騰してとろとろになります。 心臓の音も変わります。 トクトクと鳴り出したので、心配になって水をたくさん飲みます。 いつも何かを待っている音。 音を待っている音。 涙が出ることに助けられます。
空気に乗るくらい軽いものに
傷つけられてしまいます。 北風に吹き消されてしまうくらい弱いもので 傷つけてしまいます。 結露に滲む 小さな小さな星が、とても強く凛として見えるのは そこが言葉を解さないからなのかもしれません。 電話も手紙も、言葉ばかり。 私の発するこの言葉は 本当のこの気持ちをそのままのまま、 あなたにちゃんと伝えてくれているのでしょうか。 間違った見当違いの言葉を選んでいるのではないかと ときどきとても不安になります。 「思いは伝わらないからね、言わないと」 言えば伝わるの? 「伝わるよ」 どうして彼のことばはこんなにも。分厚く届くのでしょう。 百科事典そのままのよう。 好ききらいとか。知っていることとか。 見せてくれた表情とか。 その数が少しずつ、果てしなくふえてゆきます。 にんじんごはんは。きらい。 夢に見たものが現実になったり、 そのままにしておいたり。 近づいたと思ったら また素早く離れてゆく。 はちきれそうな心は たぶん気管の辺りまで、のぼってきているのだと思います。 息が苦しい。 苦しいから悲しさはぼやける。人間て、よくできてる。 交わした言葉も、思い出すたび苦しいけれど ずっと覚えておきたいから、 何度もとり出して、まぶたの中で繰り返します。
寂しさは浸るものではなくて、
溜まっていくものだと知りました。 液体のように、少しずつ溜まっていって、 揺れると目の辺りからこぼれてしまいそうなので、 ずんずん歩くこともままない。 だんだんに、一日一日蒸発してゆくのを待ちます。 辛くてもこぼしたくないのは、蒸発したあとに残る 優しい匂いを知ってるから。 寂しさに気づかないふりが、 少しずつ上手くなってきたと思っていたんだけれど。 今日はいろんな雲が空じゅうに広がっています。 竹ぼうきの掃いたのと、 波の模様に流れる雲と、ラピュタが埋まっている雲。 起こることは全て、起こりうること。 あり得ること。想像可能なこと。 それが毎日起こります。 昨日も起こって、明日も起こる。 ちょっと忘れていただけ。 考えてみなかっただけよ。 こころの底がひっくりかえるくらい驚くことなんて、 ここにはないのです。 竹ぼうきにまたがるおばあさんも、 全身赤色をまとった金髪のおじさんも、 同じ星のどこかでオーロラが見えることも。 手紙の返事を待っても来ないことも、 そこにあると思ったらなかったことも、すべて。 彼女は小さな頃から、 知っていることを知らないふりするのがくせになって、 だんだんに自分が何を知っているのか、 知っているということがどういうことなのか 分からなくなってしまいました。 この世の中のことをできるだけ見ないようにして、 知らないこと、知りたくなったことだけ 大事な人の口から教えてもらいます。 そうすれば世界は 大事な人のことばにつくられて、くるまれて、 温かく優しく、彼女に映るのです。 涙はいつも溢れるほどにでてはこず、 まぶたの際でとどまって 何ひとつ、伝えることができません。 あなたのひとことで空の色は変わります。 世界の透明さと、煮こごりみたいな味覚を 一緒に教えてくれた人。 夢のような夢を見て、ぬるい涙で目覚めます。 夢の中で感じたのは、触れたことのない彼の温もり。 柔らかくて優しくて、胸さわぎのするあたたかさ。 今はもう体を通り抜けていったそれは、 決して想像なんてできない、 あり得ないもの。
満月はおおあらしに吹き飛ばされて
大雨に流されてしまいました。 空は本当はつながってなんてないらしいよ。 遠くあの人と同じものが、 見えないほうがいい日もあります。 ひとりきりで見たものには、 覚えておく責任はないのです。 まっくらのほうが、いい日もあります。 目が慣れるということは、 闇が薄くなるということなのでしょうか。 さっきどんぐりと一緒に拾った満月は、 今度会うとき見せてあげるね。 アオムシの女の子は、白いチョウの男の子に憧れていました。 知っていることを全部教えて。 この世の全て。あなたの仕方で知りたいの。 今朝のニュースのことや、天気のこと。 おもしろい映画、おもしろくない映画のこと。 光合成がどうして起こるのか。 それからあのヒヨコの親はだれ? 蜜の味も、この緑色の見え方さえも、全部。 全て、あなたの仕方で知りたいの。 チョウの男の子は言いました。 僕の知っていることなんてとても少なだけど、 それでも、とても時間がかかってしまうよ。 アオムシの女の子は言いました。 いいの、いくらかかっても。 チョウの男の子は少し言いかけて、それから少し考えて、 言いました。 やっぱりだめだよ。 僕の知っていることを話しても話しても、 君はやっぱり君の仕方でそれを知ることになるんだよ。 アオムシの女の子はそれでもいいの、と思ったけれど、 言いませんでした。 チョウの男の子を知るということは、 彼の知っていることを全て知ることではありません。 それでもずっと、隣で聞いていたかったのです。 長い長い時間をかけて。 けれど、 彼の本当の視線を追ってしまったなら もっと悲しくなるということに、 彼女はやっぱり気づいているのです。 いまはチョウの男の子の優しさだけ、それだけを見たなら、 アオムシの女の子は嬉しくいられました。 ほんとうの合理性なんて どこから見たなら知れるのでしょうか。 乗り越えたりしなくたって、 サナギにはなってしまうのです。 目覚めたときにも、 同じ仕方でこの緑色を感じるのです。 ぽかぽかする日差しも、全て。 久しぶりの青空がひどく寂しい。 吸い込まれてしまいたい。 久しぶりの夕焼けも、久しぶりの星空も、 干からびたミミズの死骸も、 彼を思わせないものはありません。 穏やかさのない、高揚と落胆だけの、 そんな恋だってするのです。
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guranna グランナ こんばんは。 小さな大学の図書館の 司書をしています。 ほんとうのことも。 そうでないことも。 大事に思うことをたいせつに。 忘れてしまいませんように。。 ライフログ
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